私が入社した26年前と比べると、本当にこの業界は大きく変化してきました。当時はパチンコ屋といえばまだ「接客」という観念がなく、荒っぽいお客様が多い中で、不正をしないか監視するのが店員の仕事といった状況でした。
そのような時代に、私たちがまず率先して行ってきたのが、接客サービスやクリンリネスの向上といった、お客様に気持ちよく楽しい時間を過ごしていただくための取り組みだったわけです。他店がまだお客様への会釈すらしていなかった時代に、高級ホテル並みの質の高いサービスを目指して実践してきたことは、非常に画期的なことだったと思います。当時きれいな店内のピカピカに磨き上げられた床に「靴を履いたままでもいいですか…?」と訪ねてきたお客様もいたほどです。
そして、もう一方で営業上の重要な柱となったのが、データの数値管理システムでした。当時は全く何もない状態からコンピューターメーカーのダイコク電機へ「こういうものを作れないか」と提案し、長い年月をかけてシステムを共同開発していきました。そこで生まれた計数管理や会員管理といったものは、ユーコーの営業を支える礎となり、やがて業界全体のスタンダードになっていったのです。
店舗が拡大していく中では、運営上の体制も大きく変化してきました。それが各店舗のマネージャーを中心とした、現場の意志を最大限尊重していくというスタイルです。遊技参加人口が減少傾向にあるといわれる中で、お店としては、常にお客様を引きつける魅力を、発信し続けていかなければなりません。そこで、まず大切なことはお客様一人ひとりを見ること。現在はニーズが多様化しており、そのニーズもすぐに変化していく時代です。それらをどれだけ敏感に察知して、対応していけるかスピード感が問われてきます。「お客様が何を望んでいるのだろうか」という未来予想図を描きながら、先々を見据えたお客様のウオンツを具現化していく。
そのためにユーコーでは、お客様と直接接する現場を重視し、「お店をよくするためには何が必要か」ということを社員一人ひとりが考え、それを会社としてバックアップしていきます。様々な人の持つ多様な感性は、積極的に経営戦略にも取り入れられ、そのことが60年間存続することができた一つの理由になったのだと思います。
ユーコーでは各店舗のマネージャーに店舗経営における責任と権限をできるだけ託してきました。人からやらされているのではなく、自らの意志で実践していくからこそモチベーションが高まるし、一人ひとりの意志や能力も培われていくものです。今ではそれが実を結び、自分の考えを持つ強い個人が育ってきています。今後はそのような様々な力を持った社員の力を一つにまとめて、さらに相乗効果を発揮していくことのできる組織にしていかなければなりません。変化の激しい時代において、上層部だけでなく店舗や様々な部署の社員一人ひとりが経営に携わるという意識を持ってほしいと思っています。
これまでのユーコーの歴史の中で培ってきたサービスの質、営業システム、そして強い人材といったものは大きな財産になっていますが、さらに進化させ営業・財務が一体となった組織や店舗運営の徹底した効率化と差別化で、業界における新たな企業モデルを確立していくことが、ユーコーのこれからのあり方だと思っています。