ユーコーは早い時期からアミューズメント事業を「接客サービス業」と位置づけ、他社に先駆けて革新的なサービス施策に取り組んできました。お客様のリクエストに応じて、店内でお飲み物を提供するコーヒー販売事業もそのひとつです。私は今、コーヒーワゴンの売上管理や販売促進と並行して、女性スタッフの人事面での制度拡充全般を任されています。コーヒー事業と女性の人事。この一見あまり関係なさそうな二つの事柄を結ぶ深い相互作用にも、ユーコーらしい確かな意志が反映されています。
今や業界のスタンダードとなったコーヒー事業ですが、業界全体では補助的なサービスのレベルにとどまり、外部に委託する企業も目立ちます。実はユーコーもコーヒー販売部門を立ち上げた当初は大同小異で、スタッフの採用・育成を店舗個別に行なっていました。でも考えてみれば、遊技中のお客様とじかに接するワゴンスタッフはお店の誰より、お客様に近い存在です。ユーコーでは、このことに着目した6年前から採用・育成方法を一新。今ではワゴン、カウンター、ホール、さらには集中管理室での後方支援業務と、幅広い業務を担うサービス専門職と位置づけた役割を担っており、午前中はワゴン、午後はカウンターと後方支援…そんな勤務形態もすっかり定着しました。お店のどんな質問にも淀みなくお答えできるワゴンスタッフ。お客様との信頼関係づくりに欠かせない存在であり、他社との差別化を図る切り札にもなっていると思います。
業務の幅が広がるにつれて、女性スタッフの意欲も目に見えて向上しています。カウンターキャプテンの中には、自店の売上管理を担うのはもちろん、営業計画や販促企画の立案にも積極的に取り組む頼もしい社員が何人も育っています。彼女たちの意欲に報いるためにも、体系的なキャリアステップの整備を進めています。
また、仕事の幅が広がり、任される度合いが深まれば、責任の範囲も広がります。ストレスを感じる場面も少なくないでしょう。そんなとき、気軽に相談できる相手がいるかどうかが、とても重要です。女性は特にそうだと思います。多くの問題は上司や同僚など共に働く仲間が解決してくれるでしょうが、なかには男性には話しにくいことだってありますから。
私は火曜日から木曜日まで、週に3日を店舗巡回にあてています。売上管理、接客サービスの指導・研修など、やるべきことはたくさんありますが、最も力を入れているのが、スタッフと話すこと。何か相談があればぜひ…という思いは当然ありますが、いきなり「最近、悩みない?」と聞いても、だいじなことは聞けません。ですから、仕事のこと、将来の夢、プライベートの悩み…変に枠を設けず、日頃からなんでも話しあえる関係をつくるように心がけています。そうすると、本当に困った時には、こちらから聞かなくても話してくれます。悩みを聞いて即座にアドバイスすることもあるし、「これは大変だ」と感じたら、おいしいお酒を飲みながら話を聞くことも。それと、女性ならわかると思いますが、誰かに話をした時点でスッキリ解決!というケースも多々あります。ただ、この場合の「誰か」は誰でもいいわけじゃなく「わかってくれる誰か」でないといけないと感じており、常に、そういう存在でありたい…と心がけています。
入社以来、女性への期待と比重が高まる中で、私自身の業務の幅も、責任も、大きく広がりました。手ごたえを得た分だけ、責任の重さを痛感する場面も少なくありません。その重みに負けることなく、ずっと充実感が続いている理由は何? 自問自答の答えは、いつも同じです。任されるから。手を挙げたことを「やってみなさい」と承認してもらえるから。つい最近も、「社員の話を私一人で聞くには限界がある、外部の力も借りたい」という私の提言に、即座に「やってみなさい」と。この社風の中だからこそ、前向きでいられるんだと思います。
ハード面の施策で他社と差別化できた時代は過去のこと。遊技台や設備に大きな違いはありません。では何で差をつけるか?といえば、サービス以外にありません。サービス、つまり「人」で選んでいただく努力なら、私たちが長年追求してきた得意分野。決して他社にひけをとりません。だからこそ、努力の継続がだいじ。コーヒーの銘柄を選んでもらうアンケートを通じてお客様と一緒に店舗オリジナルメニューをつくったり、スタッフ役とお客様役に分かれて行うロールプレイング研修で常にお客様の目を意識したり。これからも、マニュアルどおりのサービスを超えて、お客様の立場で考える「おもてなし」の姿勢を徹底することで、選ばれる店であり続けたいと思っています。「あなたに会いに来たよ」というお客様の言葉が、私たちには最高の報酬です。